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後世に残す知恵袋「渋沢栄一塾」

後世に残す知恵袋「渋沢栄一塾」

動画で学ぶ渋沢栄一と近代偉人の歩み

第23回「論語と算盤」を生き方の指針へ: 第10章 成敗と運命

「論語と算盤」シリーズ第11話

人生の成功と失敗やその評価は、その人が置かれた状況や多様な価値観、社会や自己の時間的変化などによって定めることが難しいと言えます。 渋沢栄一は、仕事や活動の評価(結果)を求めるのではなく、その過程に良心を伴っているか否かを問い正すことが重要だと語ります。
橋口教授は、良心や道理に従う仕事とは、自己の社会的役割を「見切り」それを実践することであり、その活動は個人と社会が喜びや幸せを共有することができる社会的仕組みの基礎であり「論語と算盤」の真意であると論じます。

第23回「論語と算盤」を生き方の指針へ: 第9章 教育と情誼

「論語と算盤」シリーズ第10話

渋沢栄一は人材育成の指針となる「教育と情誼」の基本原理は、親孝行であると考えています。 渋沢の父市郎右衛門は、栄一の素質を見抜く力と、栄一の生き方を容認する寛容さがありました。栄一を偉人たらしめたその父の姿から、親孝行は子がするのではなく、親がするものであり、教育、人材育成においても同様に教育する側の情誼が、その教育、育成の結果を左右すると説きます。

第23回「論語と算盤」を生き方の指針へ: 第8章 実業と士道

「論語と算盤」シリーズ第9話

渋沢栄一は「論語と算盤」第8章で武士道とは、正義・廉直・義侠・敢為・礼譲であり、理想的な道徳指針だとしています。しかし明治維新により、それまで社会を統轄し、この指針の継承者である武士はその身分と誇りを失い、その一方で武士道から遠ざけられ、社会的道徳を持たない庶民による経済活動の拡大に伴って倫理的混乱が顕著化することになります。 渋沢は、「士道・武士道」の倫理を再評価し、その倫理を商業活動に適合させた道徳を呼び掛けます。

第22回「論語と算盤」を生き方の指針へ:第7章 算盤と権利

「論語と算盤」シリーズ第8話

渋沢栄一は1902年にアメリカ大統領セオドア・ローズベルトと会見し、日本の発展について賞賛を受けます。しかし、その賛辞に実業界が含まれていないことを懸念して「算盤と権利」を語ったと考えられています。 当時の日本の倫理観のない自己本位な商取引による、海外の事業者からの苦情を認知していた渋沢は、公正な商取引の基本である商業道徳を身につけてこそ、ビジネスを行う「権利・資格」を得ることになると説きます。

第21回「論語と算盤」を生き方の指針へ:第6章 人格と修養

「論語と算盤」シリーズ第7話

1910年代の日本は「一等国」として国際社会に認められつつありました。しかし渋沢栄一は日本人の「人格・品格」が、その評価に値しているのだろうかと問いかけます。
渋沢は見習うべき人格者として西郷隆盛を例に挙げ、その一方で先進国でありながら移民排斥を推めるアメリカの「品格」を欠いた国政を批判して、経済と道徳の統一に基づいた一等国の品格を説きます。 「人格・
品格」は「修養」をもって身につけるものであり、その努力の過程で自己の目的や価値を見出していくことが、日本が国家としての品格を保つことになると渋沢は考えていたようです。

第20回「論語と算盤」を生き方の指針へ:第5章 理想と迷信

「論語と算盤」シリーズ第6話

論語と算盤第5章では、渋沢栄一が15歳の時に遭遇した、修験者による加持祈祷への「迷信」の実体を「客観的」に否定した経験を記しています。 この体験談について橋口教授は、渋沢が自己実現の性質を「主観」と「客観」に分別している点に着目して、当時の急激な価値観の変化や社会的混乱が伴う不安定な情勢に、さまざまな言説が入り込み、新たな「迷信」が醸成されることを牽制するために、渋沢が、現実に則した「客観的」な分析と理解を人々に求めていると読み解きます。

第19回「論語と算盤」を生き方の指針へ:第4章 仁義と富貴

「論語と算盤」シリーズ第5話

明治大正期の人々には「金儲け」を卑しい行為とする「賤商意識」があり、これは儒教的な考えとされていました。 ところが、渋沢栄一は、孔子は富や地位を得るためには「正しい方法」でなければならないと説いているのであって、富や地位を得ることを否定したのではないと解釈します。 その「正しい方法」とは道徳心に基づく社会的利益の追求であり、「仁義と富貴」は僭商意識の払拭と商業道徳の向上を目指した「論語と算盤」の第二の表現と言えます。

第18回「論語と算盤」を生き方の指針へ:第3章 常識と習慣

「論語と算盤」シリーズ第4話

「論語と算盤」が出版された大正5年は、近代化が進み、経済社会が充実しつつありました。しかし、人々の「常識」が「近代化」されていないことに、渋沢栄一は危機感を持っていました。
 幕藩体制が崩壊し、西欧から「輸入」された国家という概念と社会構造を資本主義経済で成立させ、国の独立を目指すその大転換のためには、人々の社会認識を共通化させる必要がありました。 渋沢はその「常識」の本質は、「智・情・意」にあるとし、人々の目的意識を自己から社会に向けるべきだと説きます。

第17回「論語と算盤」を生き方の指針へ:第2章 立志と学問

「論語と算盤」シリーズ第3話

渋沢栄一が「立志」したのはいつなのか?「立志」とは何か?そこに備わるべき思想、理念とは?
 生きる道を決したその分岐点を渋沢栄一自身が振り返り、生涯にわたって貫いた志の性質を明らかにします。

第16回 「論語と算盤」を生き方の指針へ:第1章 処世と信条

「論語と算盤」シリーズ第2話

渋沢栄一は、当時、時間さえあれば人と面会し、その人数は膨大だったと伝えられています。
そこから得られた「人」を見る力と渋沢自身の人生経験とを重ね合わせて、「処世」とその「信条」のあり方を説いています。 また、失敗や逆境に陥った時の対処、失敗しないための心構えについても言及しています。

第15回 「論語と算盤」を生き方の指針へ:概要

「論語と算盤」シリーズ第1話

渋沢栄一を代表する著書「論語と算盤」は、実業家渋沢の経済哲学の側面だけではなく、人としての生き方の指南書として読むことができます。 
 このシリーズでは、「論語と算盤」の章立てを橋口教授が独自に「全体テーマ」「準備編」「実践編」「総括編」と区分し、その区分を帰結として各章を順に読み解きながら、渋沢の想念したより良い生き方に焦点を当てます。

第14回 新紙幣への願い:「個」と「和」の時代へ

「独立自尊」の伝承シリーズ第9話

 聖徳太子、福沢諭吉、そして渋沢栄一へと引き継がれた一万円札肖像画。 聖徳太子の「和を以て貴しと為す」を掲げた十七条憲法、福沢諭吉の「独立自尊」、渋沢栄一の「論語と算盤」、それぞれの思想を紙幣が発行された時代の変遷と組み合わせて振り返ることで、これからの時代に必要とされる「生き方」を探ります。
 なぜ、渋沢栄一が新一万円札の肖像画になったのか。それは歴代の肖像画偉人の思想がその時代を取り込みながら結びつき、それを発展させるための新時代の要請なのかもしれません。

第13回「穿き違へ」の独立自尊:合本主義の時代へ

「独立自尊」の伝承シリーズ第8話

福沢諭吉が実業家として最も評価した岩崎弥太郎は、独立自尊の体現者でした。岩崎は自らが創業した三菱を日本経済の頂点に置くことで国づくりを目指します。 
合本主義を唱える渋沢栄一とは対極の岩崎の事業哲学を継承する企業家たちに対して、渋沢は「福沢先生及び独立自尊論」の中で「穿き違への独立自尊」と称して批判します。 渋沢の「穿き違へ」という表現には、独立自尊の本質を理解することを求めていることが窺えます。

第12回 新時代の経営者像:福沢諭吉と「士流学者」

「独立自尊」の伝承シリーズ第7話

福沢諭吉が「独立自尊」を唱えたその背景には、近世の慣習が残っている企業の在り方では、近代化を遅らせるという危機感がありました。 そこで福沢は「士流学者」と称する、新しい知識や技術を持った人材を企業経営の中枢に置くべきだと主張します。しかし「士流学者」として経営中枢を担うことができても、株主やステークスホルダーからの圧力に直面します。 
ここに、渋沢栄一が唱える「合本主義」では解決しない企業組織の課題が浮かび上がります。 現代においても儒教的功利主義と独立自尊の「両立」が必要とされています。 

第11回 資本主義への道標:儒教的功利主義

「独立自尊」の伝承シリーズ第6話

福沢諭吉は、「独立自尊」によって経済活動を活発に行い資本を蓄え、欧米列強の圧力に対抗できる国を創ることを説きます。 しかし国づくりという目的を離れた、利己的な利益追求が社会を崩壊させることを予見した渋沢栄一は、儒教的な道徳がその暴走を止められると考えていました。 
 経済史学者の由井常彦氏は、渋沢の経済と道徳の融合を「儒教的功利主義」と名づけました。そこにある「利益を得る」とはどうあるべきかという問いを基底に、現代経済社会に渋沢の理念を照らし合わせます。 

第10回 独立自尊と近代:個人と社会

「独立自尊」の伝承シリーズ第5話

渋沢栄一と福沢諭吉の人間性や価値観を考えてきた今回のシリーズ第5話は、青森公立大学村田晴夫元教授の研究を参考に二人の哲学を考えます。
 西洋的個人主義を掲げる福沢と、儒教を基礎に置く渋沢の価値観を理論的に分解して、現代人でも理解し易いその思考過程を導き出します。福沢の独立自尊論に共鳴しながらも「士魂商才」「道徳経済合一説」など独自の理念を唱えた渋沢の柔軟な思想からは、社会と人が豊かになる国を創るという強い信念が窺えます。

第9回 渋沢栄一と「忠孝」:福沢諭吉「舌禍事件」

「独立自尊」の継承シリーズ第4話

大正6年に渋沢栄一が語った「福沢先生及び独立自尊論」には、福沢諭吉と思想の対立が記録されています。その対立から垣間見えるのは2人の人間性と近代化への情熱です。
急激な時代変化の中で、偉人たちが拠り所にしていた価値観は現代にも通じ、人々の生き方への示唆に富む「対立」として受け止めることができます。

第8回 新時代への継承:郷土の偉人から日本のシンボルへ

「独立自尊」の継承シリーズ第3話

 今回は、新一万円札発行に湧いた渋沢栄一「人気」を一過性で終わらせないために、坂本龍馬や西郷隆盛の事例と比較しながらその方法を探ります。
 橋口教授は「混迷の時代」だからこそ、偉人の苦悩や怒りなどに着目し、そこに現れる人間性を時代背景や事績と合わせて多層的に理解することで、共感を深めることができるのではと提言します。

第7回 紙幣と時代:高度経済成長期から混迷の時代へ

「独立自尊」の継承シリーズ第2話

 歴代の一万円札の肖像画の変遷と、変わりゆく時代を関連づけて振り返ることで、単なる「肖像画」だけではなく時代の「象徴」としてその存在が浮かび上がります。 日本経済の発展を信じていた時代から、混迷の時代に移りゆくこの現代に、渋沢栄一が肖像画に選ばれた意義と、どのような「象徴」として後世に伝えられていくかを考えます。

第6回 新紙幣への継承:新一万円札引継式

「独立自尊」の継承シリーズ第1話

東証アローズで行われた「一万円札引継式」は福沢諭吉、渋沢栄一それぞれの郷里の人たちの偉人に対する愛着と、二人が遺した理念を継承させたいという希望が契機となって行われました。 今回のシリーズでは、激動の明治期に鍛え上げられた思想「独立自尊」から読み解く渋沢栄一像と変化し続ける現代社会の指針となる根本理念を考えます。

一万円札の引継と承継

2024年8月7日公開

新札が発行された2024年7月3日に東証アローズで開かれた「新札発行記念・一万円札引継式」と式典に参加した慶應義塾大学橋口ゼミの学部生たちの言葉から、福沢諭吉から渋沢栄一へと一万円札肖像画が引き継がれる意義を考えます。

第5回「独立自尊」の継承:新時代へのメッセージタイトル

渋沢栄一と福沢諭吉シリーズ第5話

福沢諭吉が唱えた「一身独立・独立自尊」に渋沢栄一は近代人のあるべき姿を見出します。しかし産業と資本経済の発達に伴い、独立自尊を権力増強や金銭的欲求を満たすための免罪符と捉える人々が現れ、渋沢はそうした個人主義を厳しく非難します。そして独立自尊とは、「謙譲」の心が内含されているべきであり、その東洋的な思想があってこそ、福沢が目指した近代社会が実現されると主張します。

第4回 立身出世の時代:福沢諭吉、渋沢栄一を評す

渋沢栄一と福沢諭吉シリーズ第4話

福沢諭吉が、渋沢栄一の人物とその業績を高く評価している時事新報の論説を引用して、当時の世相を交えながらその評価の要因を探ります。

第3回「独立自尊」の心得:福沢からの学び

渋沢栄一と福沢諭吉シリーズ第3話

福沢諭吉が説いた「独立自尊」。この言葉を渋沢栄一がどのように捉え、福沢諭吉その人をどう評価していたか考察することで、現代人にも大切な「心得」が託されていることが浮かび上がります。

第2回 新紙幣への継承

渋沢栄一と福沢諭吉シリーズ第2話

近代日本の指導者として同世代に生きた渋沢栄一と福沢諭吉。二人の繋がりを史料から紐解くことで、1万円券肖像画の継承の背後に垣間見える近代人からのメッセージを考察します。

第1回 近代偉人から何を学ぶのか

渋沢栄一と福沢諭吉シリーズ第1話

第1回目では、近代産業史をどのように捉えることが現代の学びになるのか、そして福沢諭吉と渋沢栄一の結びつきはどこにあるのかを解説しています。

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